【コラム】「嫌悪施設」付近の物件、入居率等に影響はあるか

昨年、東京都港区の南青山で、児童相談所を建設する計画に住人らが反対した「騒動」を覚えている人も多いだろう。

「『青山ブランド』のイメージが悪くなる」など資産価値の低下を懸念して反対意見を述べる場面も報道されていた。

その存在が、住民や物件所有者らから嫌われる施設のことを「嫌悪施設」と呼ぶ。

「必要性はわかるが、自分の物件(住宅)近くには建てないでほしい」という意味を含んで

「NIMBY(Not In My Back Yard)」という言葉で言い表されることもあるが、

収益物件の近くにあると、入居者が決まりづらかったり、資産価値が低下したりするとして、

嫌悪施設が近隣にある物件は「絶対に持ちたくない」と避けるオーナーも多い。



冒頭に述べた児童相談所も、一部の人から「嫌悪」される存在になってしまっているが、

そもそも何が嫌悪施設に当たるのだろうか? 本当に、資産価値は低下するのでしょうか。

「嫌悪施設」は、実は明確に定義されてはいないのです。

「不動産流通推進センター」は嫌悪施設を以下の4分類で説明するものの、実際には明確な定義はなく、

「嫌悪を感じるかどうかは個々人により判断が異なるなど、一概には言えない」という。

同様に、「付近」というのもどの距離までを言うのか、どの程度近くにあったら影響するのか、ということもあいまいだ。



<住宅地近辺の主な嫌悪施設>

○騒音や振動が発生するもの

高速道路などの主要道路、飛行場、鉄道など

○煤煙や臭気が発生するもの

工場、下水道処理場、ごみ焼却場、火葬場など

○危険を感じさせるもの

ガソリンスタンド、高圧線鉄塔、暴力団組事務所など

○心理的に忌避されるもの

墓地、刑務所、風俗店、葬儀場など


例えば墓地と言っても、高級住宅地にあり、著名人の墓も多い『青山霊園』の隣がダメな立地なのか、

と言われればそうではありません。

また、古くからのお寺がたくさんあるような地域では、お墓が立ち並ぶのも普通の光景。

こうした場合、墓地が『嫌悪施設』とは言えないのではないでしょうか。



入居者や住民がその施設にどのような感情を覚えるかは、人によってさまざま。

また、その施設が地域にとってどのような立ち位置にあるかによっても与える影響は異なってくる。



嫌悪施設というと、一般的には墓地や火葬場、葬儀場、暴力団事務所、工場といったイメージが強いです。

しかし何度も述べる通り、周囲の人が嫌悪を覚えれば「嫌悪施設」になってしまう。



例えば校庭が賑やかな小学校や保育園、1階に入った飲食店、宗教施設も当てはまるでしょう。

居酒屋なども、騒音が聞こえるようなら『嫌悪施設』ですし、極論を言えば、

コンビニもたまり場になったり、音がうるさかったり、ということから嫌う人もいます。



嫌悪施設による価値の低下については、収益物件の場合、嫌悪施設が近隣にあることが、

間接的に資産価値に影響を与えます。つまり、嫌悪施設があるが故に家賃を下げざるを得ず、

それによって収益が低くなってしまうために、資産価値が落ちる、と考えられるのです



不動産投資家の考えとしても意見が分かれ、嫌悪施設が近くにある物件であっても

価格や収益との折り合いがつけば「もちろん、検討します」と断言する人もいれば

やはりトラブルやリスクを懸念し「嫌悪施設が近くにある物件は持ちたくない」というオーナーも存在します。



嫌悪施設については、基本的に売買・賃貸の重要事項説明義務が課されます。

ただし、その範囲や対象は明確ではないため、注意が必要です。



実は定義があいまいな「嫌悪施設」。家賃を下げざるを得なくなれば資産価値も低下するが、

そもそも物件価格が安く、利回りが良かったり、実際はそこまで家賃を下げなくても良かったりすることもありそうだ。

トラブルもあるため十分注意はしつつ、必要以上に恐れることもせず、各物件の事情を冷静に判断していきたい。



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